専攻の沿革
知能システム科学専攻は、東京工業大学 大学院総合理工学研究科の専攻として平成8年度に発足しました。?
それまでの経緯は以下の通りです。
生命化学専攻とシステム科学専攻の歴史
知能システム科学専攻の前身である生命化学専攻とシステム科学専攻は、昭和50年に大学院総合理工学研究科開設と同時に設置されました。生命化学専攻は、「化学的接近に基づく生命現象の解明」を教育研究の目標として、2基幹講座と4協力講座(理学部天然物研究施設)から構成されていました。一方、システム科学専攻は、創設時に3基幹講座と3協力講座(理学部1、工学部2)からなり、「組織化された複雑系の原理を探るとともに、システムを計画・設計・運用するための理念と方法を見いだすこと」を教育研究の目標としてきました。
生命化学専攻から知能科学専攻への名称変更
生命化学専攻の発足以来の顕著な研究業績もあって、本学では、生命理工学分野での教育研究体制を充実するために、平成2年度に長津田キャンパスに生命理工学部を開設する運びとなり、生命化学専攻の4協力講座の原籍講座は生命理工学部の新学科に振り替えられることになりました。これに伴い、生命化学専攻の研究対象を生物にとって最高次の生命現象である「知能」にシフトし、生命化学専攻の協力講座の原籍を精密工学研究所と工学部に移すと共に、多数の教官の配置替えを行いました。平成3年度に知能科学専攻へと名称が変更され、教育研究の目標は「自然知能の解明と機械知能の創造」に設定されました。
知能科学専攻とシステム科学専攻から知能システム科学専攻への改組
システム科学専攻では、その後、昭和62年に教育システム工学講座が新設され、基幹が4講座になることに加えて、JMA創造性開発寄付講座(日本能率協会の寄付)とLIFEファジィ理論寄付講座(国際ファジィ工学研究所の寄付)の設置など、組織の充実が図られました。専攻の研究内容も、抽象的なものから具体的なものへ、特に「ヒトの知」を明確に意識したものへとシフトしてきました。このような状況の中で、知能科学専攻とシステム科学専攻は、数年前より、カリキュラムの相互乗り入れや教官の相互併任などを通じて交流を深め、新分野を開拓することの必要性を認識するに至りました。すなわち、両専攻は相補的なふたつの学際領域を融合することにより、超学際性をベースに、生物のように頑健で適応的な性質をもつ「複雑適応系」を新しい教育研究の対象とする新専攻に向けて改組することで合意し、平成8年度に知能システム科学専攻が発足することになりました。